この松は、おん祭の「松の下式」が行われる場所にある「影向の松」がモデルになったと言われています。
日本中世の楽書『教訓抄』には、「影向の松」に春日大明神が翁の姿で現れて、萬歳楽を舞った様子を「教円」という僧侶が拝見したことが記されています。
この「影向」とは、気配や音により神仏が顕現していることを意味する仏教の言葉で、「影向の松」とは、「神様が依り代とする松」という解釈になります。
現代における「能」は、人々が楽しむための演劇に近いイメージが強いかもしれませんが、その起源の一つが、春日大明神にあることは、あまり知られていません。