春日若宮おん祭

おん祭について

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春日大社の摂社である若宮の御祭神は、大宮(本社)の第三殿天児屋根命あめのこやねのみことと第四殿比売神ひめがみの御子神であり、その御名を天押雲根命あめのおしくもねのみことと申し上げます。平安時代の中頃、長保5年(1003)旧暦3月3日、第四殿に神秘的な御姿で御出現になり、当初は母神の御殿内に、その後は暫らく第二殿と第三殿の間の獅子の間に祀られ、水徳の神と仰がれていました。

長承年間(1132〜1135)には、長年にわたる大雨洪水により飢饉が相次ぎ、天下に疫病が蔓延しました。人々を救うために、白河上皇、鳥羽上皇、関白藤原忠通、関白の父親であり実力者の前関白藤原忠実、関白の弟である左大臣藤原頼長が若宮様へ強い御加護を願われ、長承4年(1135)の旧暦2月27日、現在の地に大宮(本社)と同じ規模の壮麗な御殿を造営なされました。それから、若宮様の御神助を願い、翌年(1136)の旧暦9月17日、春日野に御神霊をお迎えして丁重なる祭礼を奉仕したのが、おん祭の始まりです。

御霊験はあらたかで長雨と洪水も収まり晴天が続いたので、以後、五穀豊穣と万民安楽を祈り大和一国を挙げて盛大に執り行われ、室町時代の応永23年(1416)頃から11月27日へと変わり、明治時代よりは新暦の12月17日と定められ、900年近くにわたり途切れることなく、今日に至ります。日本屈指の格式と伝統を誇る春日若宮おん祭は、その御渡り式と神事芸能が国の重要無形民俗文化財に指定されています。